ブランク5年の専業主婦が社労士開業を目指すブログ

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読書記録☆建設業働き方改革と労務知識Q&A

こんにちは。

社労士開業を目指す、現在は専業主婦のおかんです。

 

 

専業主婦ではありますが、細々ととある会社の経理や給与計算等お手伝いさせてもらっています。

その会社が建設業でして、労働保険の年度更新手続きをする中で、建設業の特殊性を改めて実感し、これはしっかり勉強しなきゃならんと思い、手にした本です。

 

 

 

 

建設業を営む社長さん向けに書かれた、労務管理に関する基本的な疑問をQ&A形式でわかりやすくまとめられた本です。

著者は町田安全衛生リサーチ代表で、元労働基準監督署長の村木宏吉さん。

『元労働基準監督署長』ってとてもインパクトあり、かつ説得力のある肩書です。

章の合間のコラムでは、村木さんの労基署勤務時代に実際に起きた事例を挙げていただいており、これが大変参考になる内容です。

 

 

特に建設業は社保未加入問題や、労災事故発生率の高さ等、問題を抱えやすい業態となっていますが、『うちは大きな事故は起きない』と思っている経営者さんも多いのではないでしょうか。(経営者に限らず、現場で働く作業員さん然り)

だけど、実際に事故が発生すると大事になり、場合によっては想定を上回る金額のペナルティを追徴されるケースも少なくありません。

そのような事例もいくつか書かれているので、読めば身が引き締まる本でした。

 

以下に、社労士を目指す私が特に知っておくべきだと感じた内容を抜粋します。

 

 

 

 

建設業における働き方改革、実は待ったなし!

 

平成30年6月に働き方改革関連法案が成立し、平成31年4月に改正労働基準法が施行されました。

それにより、以下の項目を取り組まなければならなくなりました。

※特に建設業の中小企業に関係する項目を抜粋しております。これが全てではありません。

 

・実際の労働時間を記録し、それに基づいて割増賃金を支払うこと

・月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ(5割増し)

 ※中小企業は令和5年3月31日まで猶予

・時間外労働の上限規制(時間外労働時間と休日労働時間の合計原則月45時間まで)       

 ※建設業は令和6年3月31日まで猶予

・長時間残業を行った労働者の健康管理を進めること

年次有給休暇を、年間5日は会社が時季指定をして取得させること

 

 

これらはいずれも建設業での取り組みが遅れていた項目です。

なんだ、猶予まで3年もあるじゃんとお思いの方もおられますよね。

でも、長時間労働は『はい、明日から減らします』と言ってできるものではありません。

特に建設業は工期もあり、元請・下請け・協力会社と様々な会社が協力し合い成り立つ仕事。

技術レベルも個人により異なること等を踏まえると、個人の能力も加味した労務管理をきちんと行っていく必要があります。

 

 

 

とはいえ、労働時間を正確に管理すれば、残業代が増えるかも。

有給休暇を確実に取得させることも、人件費増加に繋がるし、どうしたものか・・・

 

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これらを実現するためには、発注者からの発注条件の見直し、元請から下請け・協力会社への発注条件の見直しが必要となります。

社会保険料を加味した適正な請負金額で仕事が受注できるように、工事を請け負う会社だけではなく、発注者も意識の改革が必要・・・なんだか一筋縄ではいかなさどうですよね・・・

 

 

つまり、めちゃくちゃ時間かかるよって話です。

社長さんひとりだけが頑張ってできる問題でもなく、発注者にも理解を求めていかないといけない、労働者一人ひとりの意識改革も必要。

これって数日~数か月でできることではないんですよね。

私が社労士になったら、『いつまでに、なにを』が書かれたスケジュール表のようなものを作ってお渡ししたいです。

もちろん、『社長、これやらないとまずいですよ!』と脅すような言い方ではなく、できることからひとつずつ一緒に新しい仕組みを作りましょうとご提案できる社労士になりたいですね。

 

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建設業を取り巻く現状

 

下のグラフは、建設業就業者の高齢化の進行を表したものです。

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出典;国土交通省「建設業及び建設工事従業者の現状」

 

全産業と比較しても、建設業における55歳以上の労働者は突出して増加しており、これは今後も続くでしょう。それと比較して若年層の割合は年々低下。

これは、10年後には建設業に従事する労働者が大量離職してしまうことを意味します。

 

 

建設業は

長時間労働

・週休2日が取れない

社会保険に加入させてもらえない

 

このような理由から若年労働者が集まりにくいのが現状です。

ICTも活用しつつ、労働者を育てて長く働いてもらえる業界にしていくことが急務となっています。

 

 

 

 

 

国土交通省による建設業従事者の社保未加入対策とは?

 

国土交通省が、建設業における社会保険未加入問題に取り組んでいるってご存じですか?

 本来、社会保険加入に関する本来の所管は厚生労働省ですが、国土交通省が数年前から建設業従事者の社会保険未加入問題に取り組んでいるんです。

(参考;建設市場整備:建設業における社会保険加入対策について - 国土交通省)

 

先にあげたように、近年、建設業に従事する労働者が不足しています。この課題に取り組むため、国土交通省は建設業の人材確保を主眼に、厚生労働省と協力して社保未加入問題に取り組んでいます。

 

具体的には、以下のような取り組みを行っています。

 

・国が発注する工事について、社会保険等の費用を見込んだ請負代金の設定

地方自治体にもそれに倣うよう指導していく)

・行政によるチェック、指導の強化

ガイドラインを制定し加入促進を推進

 

 また、建設業許可の基準を見直し、適切な社会保険への加入が要件化されました。

元請の役割として、社会保険に未加入の企業を下請けに選定しないよう指導しています。当然、行政による確認・指導も強化されていくでしょう。

 

 

 

 

では具体的に何を、どのように改善していけばいいのでしょうか。

ここからは改正労働基準法に基づいて、建設業が取り組むべき項目の中で比較的緊急度の高いものを3つまとめました。

 

 

現場での労務管理ってどうしたらいいの?

 

 

作業員が事務所に寄らず、現場に直行直帰することも多いでしょう。

その場合、小さな会社では毎回管理者が現場に出向くこともできないのが現状です。その場合の勤務時間の把握はどうしたらよいのでしょうか?

 

・下請けで業務をしている場合は、元請の管理者から働いた勤務時間の承認を得る

 ※あくまで申告した時間の『承認を得る』だけです。勤務時間の指示を受けると偽装請負となりますので注意

 

スマホアプリの活用

 最近はスマホアプリと連動した勤怠管理システムも、多数開発されています。

金額もそれほど高くないものも販売されていますし、正確に勤怠管理ができるメリットは非常に大きいので、導入を検討されるのも良いかと思います。

 

minagine.jp

 

 

 

有給休暇の時季指定ってどうすればいいの?

 

法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得さなければならなくなりました。

年5日ですので、例えば3日と2日に分けて夏季休暇と年末年始の所定の休みにつけて指定するといった方法があります。

工事の期間にかからないよう、元請と協力会社の連携が必要ですが、業界として比較的休みやすい時期に、指定して取らせる方法がやりやすいかと思います。

 

 

 

 

元請に内緒で下請けを使えばいいじゃん⇒ダメ、ぜったい!

 

できません!やっているのであればやめるべきです。

万が一死亡災害が発生した場合、その下請けが一人親方だと死亡災害にあっても現場の労災は使えません。

『昔から来てくれている人だから、うちは事故があってもトラブルにならないよ』と仰る経営者さんもおられます。

しかし、大きな事故により働けなくなった際、ご本人よりもご家族や周囲からの助言が入ることが少なくありません。

『それって労災じゃないの?』『実態は雇用でしょう』『こうしたらお金をもらえるよ』といった声が入ってくるものです。

会社が認めなくても、労基署の判断で調査が入り、実際は偽装請負だと判明することもあります。

 

そういったことが判明した場合には、当然元請業者の責任が追及されますし、元請に報告せず下請けを使っていた場合、以降の仕事が請けられなくなる可能性も高いでしょう。要は会社の存続にかかわる事態となります。

下請けを使用するのであれば元請に報告すること、そして実態に即した社会保険に加入させることが、後々のトラブルを防ぐ手段にもなります。

 

 

 

 

 

 以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

会社の未来のため、従業員の人生のため、建設業の明るい未来のために。

経営者さんだけで抱えずに、社会保険労務士がお手伝いてきることもたくさんあります。

頼れるパートナーを目指して・・・!!